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戦いこそが人生で。
戦わずしては生きられないがこの世の定め。
武器を扱えぬものに生きるすべなど存在しないそんな殺伐とした世界。
だが、そんな世界にも休息日くらいはあるものだ。
空は快晴。
今日も一日いい天気になりそうだ。
そう思いつつ家を出て、朝食をとりに近場の宿兼酒場まできたゼクスは、知り合いの姿を目にしていた。
「おぅ、わが君、調子はどうだ?」
今、帰り。そういわんばかりにあくびをかみしめ、どこか眠たげなアルが、ゼクスに声をかける。
「どうだといっても、いつもと変わりませんよ」
服装からしてだらけた様相アルと対照的にきったりと黒衣をきこなしたゼクスは肩をすくめる。
「そうか、そうか、そいつはよかったなぁ」
やたらとそうか、そうかと繰り返し、ぱしぱしと無遠慮に肩を叩く。鍛えているとはいえ、いささか痛い。
「・・朝からテンション高くないですか?」
無遠慮に肩を組んできたアルの呼気に交る酒精。この様子からして、ここで飲み明かしたのだろうか。
「いやぁ、昨晩ちょっといいことがあってねぇ」
三十近い見かけに似合わぬ少年めいた邪気のない笑み。
「いいこと?」
「いやぁ、酒場で飲んでたら、美人の娘がいてなぁ」
お知り合いになったとにんまりと笑う。
・・・邪気がないなんてとんでもない。よこしまさ全開だ。
「そうですか・・それはよかったですね」
痛くなった頭にこれはほっておいて早く朝食にしてしまおうと思う。おそらく午後あたりには二日酔いという天罰に当たっているだろう。酔っ払いには大人な対応が重要だ。
だが、天罰は昼まで待つこともなく下ることとなる。
とりあえず近くにいるとろくなことがない。そう思って知り合いでありながら机を別にしていたゼクスが、運ばれてきたパンと焼いた鳥とサラダとスープというがっつり系の食事を半分くらい平らげたあたりで騒ぎはおこった。
「うおぉぉぉぉ〜!!」
突然聞こえたのはアルの声。
何事か人々の視線が注目したその中にゼクスの視線もあった。
「や、やっちまった・・・」
首をがっくりと落としたアル。
「?」
何があったのだろうか?
そう思っているとつかつかとあるがゼクスの机際まで歩いてきた。
「へーか、いや、わが王、わが君。お願いがあるんですが・・・」
妙に堅苦しい口調。てけとーが信条ぽいこの人物にしては珍しい。
「願い、ですか?」
ゼクスが返す言葉も心なしかかたいものになる。
だが、そんな空気は一瞬だった。
「金貸して〜」
「はいぃ?」
予想外のセリフに思わず語尾が上がる。
「いやぁ、やられた。きれいさっぱりw」
自分の財布をさしてからからと笑う。
聞けば、娘となかよくやっていたときには持っていたらしいゆえ、たぶん娘にやられたというアル。
「・・なんでそんなに楽しげなんですか・・」
「んー、見事な手際だよなぁ。ここまで見事だと称賛してやりたくなるぜ!」
ちなみに非常用資金も根こそぎやられたので朝飯代を貸してほしいとのことだったが、そこには悔しさも悔いも感じられないすがしい感情しかない。
相変わらずこの人物の思考はよくわからない。とりあえず朝飯代を貸してやるゼクスは思ったのであった。
【2008/09/27 11:58】 小説 |
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